tmworks

日々の足あとを残していきます

Mint60

Mint60

HHKBライクで、RowStaggeredで一般的なレイアウトの分割キーボード。
キー数: 左29+右37

eucalyn.hatenadiary.jp

僕のは、いろいろ手を入れていたら、多分オリジナルのコンセプトから大きく変わって、剛健な重量級モデルになってしまった感じもする。
Gateron黒軸メインで構成。最終形では、打鍵感は静かで柔らかく落ち着いた出来になっていて、好きな感じになっている。

f:id:matsu-tsuyo:20210510145450j:plain
Mint60

悩んだところ

1. キースイッチの選択

最初中々決められなかった。Gateron赤/茶/黒で迷って、赤は2種作って、茶は製品を購入していたので、黒になった。
スペースキー部分だけ赤軸にしたけれど、これはちょうど良かった。SHIFTも軽くしておきたい感じだけど、それほど気になってはいない。

2. キーキャップの選択

実のところまだ最終的に決めていないけれど、Archiss ProgresTouchの交換用キーキャップが遊んでいるので、これを付けている。真っ黒。2.75U/2.25Uスペースには、TALPさんで販売のDSAキャップを置くことにした。
DSA PBT ブランク キーキャップ (1個/2.25U/ブラック/グレー/ホワイト) | ...

3. 配列

右側スペースキーの配置もどれが一番いいか決められなかった。今だに何がベストなのかは結論を出せていない。

作ってみた

組み立ては、特に困った記憶はない。ダイオードの配置が少し変則的なので、実装箇所を探すのが難しかった?くらい。でもPCBのプリントは簡潔で分かりやすかった。
ProMicroの実装もキースイッチの裏側に載せる形だったけれど、ビルドガイドが親切で、該当部分のキースイッチはピンカットするように指示があって、確かErgoDashよりもMint60の方が先に実装したけれど、問題には遭遇しなかった。

スタビライザーを初めて使ったけれど、ついつい上下逆につけてしまうことがたまにあった。
スタビライザー周辺のトッププレートと周辺のキースイッチが、浮き気味になってしまうのは少しクセがあると思った。
後で筐体の剛性強化対策を施す際にもハンダの付け直しが何度か必要だった。

ボトムプレート

それより、ボトムプレートの組み立ての方が手間だったかもしれない。
カバー部品が細くて、多くて、最初仮組→本組の手間も避けていたりして制作の進捗も他より遅くなってしまった。
そこのパーツは接着剤で一体化したら最終的に手間も解消したし、剛性強化の効果も得られたので、この後の改造に繋がった。
アクリル接着剤の使い方は慣れが必要だけど、これは基本的にやっておいた方が良いのじゃないかと思った。

自作キーは大体、電装よりもアクリル工作に掛ける時間の方が長くなっているな。
Mint60の電装作業で一番手間だと思ったのは、テープLEDの取り付けだった気がする。

右側レイアウトの選択

Mint60の右側モジュールは、スペースバーの分割パターンを3通りに選択できる。
これはどういう利用シーンになるかイメージが全然湧かなくて、決めるのに困った。
スペースバーは良いとして、普段から日本語配列スペースバー脇の[変換][無変換]キーの意識はいい加減になってしまっていて、[無変換]だけはカタカナ変換の場合に比較的使っている感じもする、という程度だ。
HELIXやErgoDashに慣れたので、それらで使っているレイアウトに寄せて親指にレイヤキーを振っていきたい感じだけど、HHKB-JPからあまり外したくもなく、フルキーボードとの互換性とカスタ真伊豆具合のバランスをイメージできないままだった。
結果、1.5U-2.75U-1.5Uの構成にしたけれど、やっぱりこれはサンプルに従って2.75U-1.5U-1.5Uの方が良かったかなと、今使いながら思っている。

静音化

元々、静音化にはそこまで拘る質ではなかった。Oリングを付けてみて、何だかイマイチかな~と思う程度だった。
このMint60を組み立てた時、スタビライザーの騒音が大きくてびっくりしたので、全般的に少し踏み入れることになってしまった。

スタビライザーの対策

ルブを施さなければいけないなと思ったきっかけ。
ハンダ付けも終わって組み上がった後でもうバラしたくなくて、このスタビライザーの騒音だけ対策できれば良かったし、安くてカンタン目なやり方にしたいと思っていた。
タミヤの模型用シリコングリスを入手してスタビライザの可動部分へ注入しただけだけれど、十分、劇的に改善した。

キースイッチへの対策

スタビライザーへの対処がうまくいったので、キースイッチも何とかできるかなと思い、同じくシリコングリスを注入しようと思ったけれど、組み立て後ではスイッチ内部へのアクセスは難しい。
諦めるかちょっと迷ったけれど、シリコンオイルを使ってみた。
結果として、Gateron黒軸+シリコンオイル潤滑は、個人的には一番好きな組み合わせになっている。
キープッシュは滑らかであり、バネの反発は程良くあるので、すごく静かで落ち着いた感触になっている。
次に作る時も同じように黒軸系の組み合わせにしたいかなと思っている。

筐体の剛性強化対策

1. トッププレートの押さえ(サイドパネル)

トップ/ボトムの剛性強化と、側面の埃侵入の予防の意味で7mm幅/3mm厚のアクリル板を必要サイズに切り出して、接着した。
サイズがなかなかジャストフィットしなくて、長さ調整のヤスリがけが手間だった。きちんと測って、お願いしちゃった方がやっぱりキレイだったなと思うけれど、現物合わせになると結果同じことなので、自前にした。
実装は、ボトムプレート側にアクリル接着剤(アクリサンデー)で行ったけれど、接着剤注入の手順、その直後数秒間の部品押さえ、接着剤がはみ出して汚れてしまう、というところがやっぱり難しくて 、キレイにできたのは一か所だけだったな。
アクリル屋さんの手順もちょっと参考にしたけれど、仮固定用のテープとかアクリルの保護紙に染みちゃうとアクリルの表面が荒れてしまうところが。
プレスリリース|アクリ屋ドットコム
アクリルの接着方法 | Minakome blog

剛性強化の意味ではトップ側に接着したかったけれど、PCB側のメンテナンスが物理的にしづらくなるのでボトム側へ接着した。
f:id:matsu-tsuyo:20210519161227j:plain

手間はかかったけれど、剛性強化の意義は大きいと思うし、雰囲気もだいぶ変わるけれど、個人的には施工後の方が好み。

2. トッププレートの補強

ErgoDashの場合と同様に、右側スペースバー周辺はトッププレートの開口部が大きいので、これを塞いで補強するもの。これをするとスイッチの位置換えができなくなるので、位置決めをFIXするまで待ったけれど、レイアウトは今になって修正したい気もしている。
あと、トッププレート-PCBの間の空間に3mm角のアクリル棒を入れる補強もした。
f:id:matsu-tsuyo:20210524143824j:plain
f:id:matsu-tsuyo:20210524143904j:plain

アクリル棒は、板に比べて加工が楽でいい。

3. ボトムプレート カバーパーツ部品の接着

ボトムプレート奥側の、ProMicroカバー+底上げパーツを、分解の度に組み合わせるのが面倒だと思ったのがきっかけ。
サイドパネルよりはずっと作業しやすいと思うけど、よく見ると若干ずれがあったりして、準備と練習が必要だと思った。
ここを接着してみると、結果的に筐体としての剛性が向上して、打鍵感が安定することに、結果として気が付いた。
これは、おススメできるやつ。

4. ボトムプレートの強化

ボトムカバーパーツ接着の効果を見て、もう少し何か剛性対策できないかと思ったのがきっかけ。ErgoDashで、ボトムプレートを重ねたらすごく感触が良くなったので、Mint60でも同じようにできないかなと。
考えたのが、

  1. カバーパーツ段差部分をアクリル棒で追加補強
  2. ボトムプレートを縦方向に補強
  3. それよりもボトムプレートを交換する?
  4. ボトムプレート全体に板を重ねて補強する

のどれか。
1,2は手持ちパーツで簡単にできそうだったけれど、また手間がかかりそう。
全体デザインとしては3が良さげだったけれど、ボトムプレートは、既にサイドパネル、カバーパーツを接着済で、交換すると再利用不可で全部やり直しになってしまうので、4の板重ねを試しでやってみることにした。
3mm厚のアクリル板で補強する予定だったけれど、レーザカットをお願いする際に、流通在庫の関係で5mmになってしまった。
底面をつや消しにしたかったので、透明グレースモークの片面マットのタイプを選択。

f:id:matsu-tsuyo:20210519160837j:plain


結果、Mint60のオシャレなコンセプトと真逆になって、剛性と重量感、そして安定感がものすごい。
別でバラストを入れて安定感を出そうかと思っていたけれど、不要になってしまった。
高さが、プラス5mmの嵩上げになるので、ちょっと高くなり過ぎるかと思って迷ったけれど、今問題は感じていない。
ただ、やっぱりこの場合は3mm板の選択がベストだと思うし、ボトムプレート自体を5mm板で作り直すのも良い選択ではと思う。
トッププレートも3mm板にしたい気がするけれど、スタビライザー周りの処理がちょっと工夫がいるかもしれない。

f:id:matsu-tsuyo:20210512173555j:plain

サイドパネルとボトム強化の影響か、UndeGlow LEDの光がほとんど外側から確認できなくなってしまった。
LEDは通電・左右通信の状態確認ができれば十分だと思っているけれど、これだとちょっと見えないので、LEDを移設しようかな、と思っている。

使い始めてみて

キーレイアウト

僕は普段はWindowsを使っていて、WindowsではISO-106JP配列に従うポリシーにしている。
QWERTY配列はもちろん、CTRL/CAPSキー問題も含めて、標準配列から大きくは外さないというのが原則だ。
Mint60はレイアウトはUS専用なので、どうやってもJPレイアウトを再現することはできないけれど、深くは考えず「まずはキーを叩いてから考える」ことにした。
今のところ、

  1. キーコードマップはJPを使って
  2. 記号類の配置は、R1,R3はJP配列(右端以外)、R2だけUS配列
  3. 「@」キーだけR4へ追いやった

というようにした。これでそんなに困らない。

f:id:matsuyog:20210607184231p:plain
キーマップ

右下のカーソル移動キーブロック

60~65%のレイアウトだと、HHKB(JP)を含めて、右下部分に格子配列を並べてカーソルキーに充てるレイアウトが多い。
Mint60を選択したのもこの部分を含めてHHKBに近くて、キー数に余裕が出ることがポイントだった。
でも、どうもこのカーソルキーブロックは、HHKBも含めて僕は好んでいないみたいだ。
何がダメかというと、

  1. 右SHIFTキーは右端に欲しいので、右SHIFTキーの内側にカーソルキーを置くことになる。
  2. 右SHIFTキーの幅が小さくなる。

この2点が複合するとやっぱり困っていて、どうしても右手小指系のミスタイプが避けられない。
HHKBもこの辺がうまく順応できずに離れてしまうので、Mint60では、この右下のカーソルキーはレイヤに隠してしまった。

f:id:matsu-tsuyo:20210524144101j:plain

レイヤと機能キーの割り当て

カーソル移動系の[Fn]レイヤーのキー割り当ては、HHKBに準拠した形で設定してみている。
HHKBとの間で違和感を少なくしておきたいためだが、[Fn]キーに相当するレイヤキーは、他のErgoDashやHELIXと同様、親指スペースキーに同居させているので、使用感はHHKBとは大きく変わってしまう。段々、HHKBも使えなくなってしまう感覚がある。
F1~F12(Fx)キーも、自作キーボード群に同じく、F1~F12までを左手に寄せた割り当てをしている。
大体片手で操作できる点と、Fxキーは左右に分かれているとどちらにあるか瞬時に分からなくなってしまうことがいまだにあるからだ。
結局、HHKB互換を忘れて他の自作系のキーボードと一緒にした方が良い気もしてきている。

スプリットとSHIFTホーム

Mint60を使うようになって初めて自分のホームポジションの取り方に気が付いた。
ホームポジションは、「F」と「J」、ではなくて、実は両手小指でそれぞれ「端っこ」を探っていた。
SHIFTキーを基準にして小指を軸としたい癖がついているんだと思う。
右SHIFTキーは右端のキーに設定しているので、スプリットでも左右対称型だと"ちょうどいい”のだが、Mint60のようにフルキーボードベースで「5-T-G-B」「6-Y-H-N」列で分割するレイアウトだと、右手人差し指が「6-Y-H-N」に届かない。そもそも「6」は左手の方が近いし。
それに、右手が左端から「落ちる」ので、どうしても左端に指を持っていきたくない感覚を覚えてしまい、気が付くと僕の右手はMint60の右端に寄った場所に居座っていて、1キー右にずれたミスをすることが多い。
なるほど、それでスプリットには抵抗があるんだなと納得の行く考察ができたが、今のところMint60は、左右をほぼ接した状態でタイピングをしている。

僕のMint60では右モジュールのスペース+レイヤキーを真ん中に置いてしまったので、それも右手が右端に寄っていく原因になっている感じがする。
親指SHIFTに移行すればこの右手を中寄りに置くことはできる気もするけれど、もう標準配列に戻れる気がしないし、親指は主にレイヤキーに振っていて、今度は親指が忙しくなりすぎる。

そんなこんなで、レイヤと、記号キー/機能キーの配置はもう少し検討の余地があるけれど、Mint60ではほとんど違和感なく文章の入力ができている。

不具合

Mint60は初見のイメージよりも遥かにスムースに使えている感じがするけれど、最近気になってきたことがいくつかある。

1. 左右モジュールの通信不良、不安定

突然右側が反応しなくなったり、初期接続時に右側と通信ができなかったりする。何度か繋ぎ直しをやっていると復旧することもある。

2. 右側の[K][L]から[ENTER]までが反応しないことが稀に起こったりする。

以前、TRRSケーブルの突然の不良発生に当たったこともあるけれど、今度はケーブルではないと思う。
分割キーボードは左右通信に問題を抱えると致命的だし、頻繁ではないけど、気にしながらだとちょっとタイプも落ち着かない。

こちらの記事も参考にさせて頂き、様子を見ているところ。
Lunakey Miniが片手だけ動かなかったときに確認すること

また中を開けてみないといけないかな。スイッチのハンダ不良なら分かりやすいけれど。

後日の経過

基本的に毎日、職場と自宅の間で持ち運んでいるけれど、

  • 職場に持ってくるとたまに通信不良になっている
  • 自宅に持ち帰って、ケースを開けて、状況を確認していると復活する

ことが多い。テープLEDの絶縁はしっかり取っているつもりだけど、LEDのレイアウト変更もしたいので、一回外してみようかな。


今度は、右SHIFTキーを侵食せずに、カーソルキーはある程度独立させたISO-JPな65%レイアウトを考えたいと思っている。

※ 記事を書くとき使ったキーボード: Mint60