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Archiss ProgresTouch Retro TKL

初めて使ったメカニカルキーボード。Cherry MX茶軸。

archisite.co.jp

カニカルスイッチという名前が出回り始めたなと思った頃、目にするモノはFILCO青軸ばかりだったので、メカニカル=カチャカチャ音がすることだと思っていた。
購入は確か2017年頃、RealForce 91U(初代TKL)を使っていたけど、どうもタイプミスが増えていて、何か変えてみようかという動機で買ったと思う。
テンキーレス一択だったけど、軸色はすごく迷って、ProgresTouch Retro TKLの茶軸を、悩んだ末選択した。
何度も店頭で確認したけれど、結局は日常で使ってみないと分からない。

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ProgresTouch Retro TKL 、下側は元のキーキャップを取り付けたHELIX

特に思い入れがあるということもないけれど、現在は標準品という位置づけで置いている。

打鍵

最初の状態での感触は、ごく普通なんだろうけれど、期待していたよりも、軽く、カチャカチャと”騒々しい”感じだった。
多分軸色は何を選択しても感想はそれほど変わらなかったと思う。
感触はRealForceの方が良かったけれど、当時はどうにも体が疲れていて、軽いProgresTouchの方をメインに切り替えた。
※キータイプが不調なのは、キーボードのせいではなくて、自分の体の方の問題だった。

キーキャップ

標準はDoubleShotのかなり肉厚なタイプ。
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  • 物は悪くないはずなんだけど、表面の触感とDoubleShot故のフォント形状がどうも好きではなかった。
  • 無刻印なHHKBを使っていた経緯もあり、アーキサイト発の交換用キーキャップ(無刻印)が売られていたので、いっそ換えてしまえと、全交換してしまった。
  • ただ、完全無刻印だと記号系の位置が意外と分からず、キー数が多いとこうなりやすいらしいけれど、記号系のキーだけ標準に戻したら、実は標準品とは高さが合っていなくて、どうしても落ち着かないことになった。
  • 結局、同じセットの刻印タイプも追加購入して、無刻印キーと組み合わせた。

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標準キーキャップは、HELIXに仮装着中(でも見た目は意外と似合う)。
交換キーキャップは、ProgresTouchとMint60で分け合って装着している。
これは、手触りが良く不満なく使い続けているけど、今は販売していないらしいですね。

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ProgresTouchとMint60

構造

年末にクリーニングする時にたまに開けていたけれど、自作キーボードに触れるようになってからは、すっかり見慣れた感じの構成。
メインはプリント基板と、鉄製のトッププレートにキースイッチが嵌っている。
それを、プラスチック製ケースがトップとボトムから挟み込んでいる。

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ケーストップを外して、
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PCBをボトムから外したところ。miniUSBのプラグがPCBからケースに伸びている。

鉄のプレートは硬く、重く、剛性・重量感では申し分ないのだが、その衝撃をプラケースが受ける際の振動と反響音が大きいので、騒音が気になる感じになっている。
どちらかというと、プレートはもう少し軽くても良いので、筐体ボトム側を重く・硬くした方が落ち着いた感触になるはずだ。

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コントローラ CY3C63413C-PVXC

静音化

スタビライザーへのグリス注入、スイッチへシリコンオイル、Oリング(1.5mm)の装着
自作キーボードで施した標準コースは一通りやってしまう。
これで主なノイズはほとんど低減される。
残るのは、キーの底打ち音、キー戻りの衝突音と、それらが筐体内で反響する音。
この、筐体の反響音を対策したいと思う。

筐体の剛性強化

PCの筐体などに施行したデッドニングの要領で、底板が振動しないように、3mm厚のアクリル板を切り出して両面テープで張り付けた。
内部のクリアランスが意外と厳しいので、意外と自由が利かない。
貼り付ける板厚を2mmにすればもう少し全面的に貼れるかもしれないが、手元の部材の関係と、板材の加工も面倒なのでこのままにした。
貼り付けはブチルテープの方が良さそうだけど、加工しやすい適当な両面テープを使った。
ひとまず程々なところで留めてみたが、底板からの反響はほとんど解消された。

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判り難いけれど、ケースボトムの内側にアクリル板を張り付け

あと、ケースボトムがプレートを支える受け軸に2mmのOringを置いた。悪い感じにはなっていないと思う。
トップカバー側はさらに空間余裕が少なくて、手持ちの材料ではできることがなかった。
ひとまずボトム側の対策の効果の様子を見ている。

効果・・・

ENTERキー横の右端編集キーブロックの間は空間が空いたままになっていて、他の部分が固くなったせいかENTERキー入力時の反響音だけが特に目立つようになった。以前はスペースキーが一番騒々しかったと思う。

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ここの内部空間を潰したら、もっと硬くなるだろうけど、期待する結果になるかどうかはわからない。
次に我慢できなくなったらやってみようと思うけれど、こんなことを今書いているくらいだからやっぱりちょっと気になっている。

まあ全体として、オリジナル状態に比べたらかなり静かになり、”ガチャガチャ”な感じは半減した。
一番大きいのはキーの戻り音であり、それに交じって茶軸の”ペチペチ”という僅かなタクタイル?音と、ENTERキー周辺の入力時のこもった反響音が鳴っている。
ENTERキー/カーソルキーは良く叩くので、反響音は気持ち良い感じではないけれど、キーの入力感触そのものはそれほど嫌いなものではなくなった。

タクタイル型Cherry茶軸にオイルを注したけれど、茶軸でもCherryの方がGateronよりも控えめで静かな感じになる。
僕は打鍵音よりも、摩擦感と摩擦音が気になってしまうので、今の状態の方が好みには合っている。
ただ、"タクタイル音"が却って安っぽく聞こえる感じもあるので、それならリニア軸を選ぶでしょ、ということなのかなと思っている。


総合

ProgresTouch Retro TKLは、標準のAPPキーの位置にFNキーがあるけれど、意味を成していない。同じシリーズのRetro Tinyの方がまだ合理的だ。
現在は「標準キーボード」として非常用に置いてある役割。自作キーを使っているときに、突然キーの反応がなくなったり、キー割り当てを忘れていた時用に常備している。(INSキーとか・・)
そういう位置づけなので、"Keyboard Quantizer"を挟んだり、コントローラをあれこれしたりしてマップを書き換えたいほどの欲求ではない。標準品としてリファレンスになってくれればそれでいい。

この記事のために久しぶりにタイプしているけれど、静音化+ノイズ対策の結果、悪くはない気がしている。
シリコンオイルを注すと軸の摩擦感がほぼなくなるので、どんなキーボードでも感触は良く、音は音は軽快になる。
対策後の感触を確認するためにもうしばらく使ってみることにする。
反響音対策はもうちょっとやれそうなので、気が向いたら手を付けてみようと思う。



後日: 右側ブロックに反響音対策をしてみた結果

その後気が向いたので、メンテナンスのついでに右側ブロックの対策をやってみた。
考えていたいくつかの方法は、カンタンそうな方から

  1. トップ・ボトム側のどちらかを吸音スポンジ(スポンジゴム)で埋める
  2. トップ側のカバー剛性の強化
  3. スイッチプレート(鉄)の開口部をどうにかして埋める

というところ。

剛性強化は、アクリルや金属板の貼り付けで対策できるけれど、空間クリアランスの制約などで迂闊にやると逆効果になったり、徒労に終わったりする。
スポンジゴムは加工がカンタンだけど、ちょうど良い厚みのものを必要な位置に入れてあげないと効果が出ない。
まずは様子見のつもりで再びカバーを開けてみたら、トップカバーのクリアランスが結構大きくて、手元に残っていたアクリル板端材が微妙に嵌りそうだったので入れてみた。

  1. INS/DELとカーソルキーの間の空間と
  2. カーソルUPキーの脇、これは板材を用意するのが面倒だったのでとりあえずENTERに近い側だけに入れて様子を見てみた。


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結果は、大変良い!音が固くなって、響くことがなくなった。
むしろ早くやっておけば良かったが、しばらくレギュラー使用してみないと何とも言えないところだったかな。

最後にダメ押しで、スポンジゴムも入れておいた。
UPキー横は左側だけの対策になっていて、右側も妥協せずに対策するともう少し良さそうだけど、実用上、もう十分じゃないかという気がする。


このキーボードは、それなりにタイプが心地良くなってしまったので、またしばらく常用していく感じになりそう。
他にキーボードにこだわるモチベーションが少し薄れてしまう気もするけれど、タイプが気持ちいのは良いことだ。

タイプ感が良くなると、用もないのにキーを叩きたくなってしまうのは、困ったところだ。